公募研究
本研究では、ハドロン分子的状態によるハドロン励起状態について、理論的考察を行った。本年度は主に以下の成果を得ることができた。(1)Faddeev法を用いてのハドロン3体系の計算カイラル動力学に基づくFaddeev法を用いて、様々な系に対して3体束縛状態を求めた。KKbarK系では、KbarKの強い引力によって3体束縛状態が可能であり、実験的示唆のあるK(1460)に対応すると予想される。また、πKbarKとηKbarKの結合系は共鳴状態を作りπ(1400)がその状態の候補となる。さらに、この3体系から、πとf0(980)との有効相互作用牽引き出すことで、ππf0(980)の3体系を調べ、この状態が最近見つかったf0(1790)に対応する可能性があることがわかった。こめようにハドロン少数系で記述できる状態を選別していくことで、ハドロンの再分類を進めた。(2)カイラル動力学におけるハドロンの複合性ハドロン励起状態を記述するハドロン模型を用いて束縛状態の構造を議論した。励起ハドロンを記述するのに、ハドロン模型の範囲内で可能なのか、それとも模型空間の外の成分(例えばクォーク成分)が必要であるかを、場の理論の波動関数繰り込み定数を用いて定量的に議論するための枠組みを構築した。また、a1中間子について、ハドロン分子状態とクォーク成分について、large Ncの議論を用いて行った。(3)ハドロン中のダイクォーク相関ダイクォークをあらわに取り入れたQCD和則を新たに提案し、ハドロン構造に対するダイクォーク相関の重要性を確認する方法を確立した。A、Ac、Abバリオンでは、udスカラーダイクォークがそれらの構造に重要な寄与を与えている一方で、核子やσ中間子では、udダイクォークだけではその質量が再現できず、ダイクォークがuクォークとdクォークに分かれる寄与が必要なことがわかった。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (5件)
Progress in Particle and Nuclear Physics
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