研究領域 | 多彩なフレーバーで探る新しいハドロン存在形態の包括的研究 |
研究課題/領域番号 |
22105508
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研究機関 | 群馬工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高橋 徹 群馬工業高等専門学校, 一般教科(自然), 准教授 (70467405)
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キーワード | ハドロン物理学 / 原子核理論 / 格子QCD計算 / ハドロン間相互作用 / ヤン・ミルズ理論 |
研究概要 |
**研究の目的** 申請者は、平成23年度において、強い相互作用の第一原理計算である格子QCD計算を用いて、「1.SU(2)カラーQCDにおけるハドロン間相互作用の研究」「2.チャームクォークを含むハドロンダイナミクスの研究」「3.A(1405)粒子の研究」を行った。研究の目的は、これらの研究を通して、我々の世界の物質の構造に重要な寄与を果たすハドロン間相互作用を、基礎理論であるQCDから直接理解することである。実際の世界のダイナミクスはSU(3)カラーであるが、このダイナミクスは複雑である。その一方で、SU(2)カラーの世界は、非摂動効果は共通部分が多いが、ダイナミクスはよりシンプルであり、この系の解析により有用な示唆を得られることが期待される(研究1)。また、チャームクォークやストレンジクォークを含むハドロンの相互作用は、星内部など極限状態にある物質の構造を支配する重要な物理量であるが、研究2・3の遂行により、これらのダイナミクスを解明することが期待される。 **研究の成果** 平成23年度における申請者の研究成果は以下のとおりである。 1.SU(2)QCDを用いて、ハドロン間相互作用を研究し、近接したハドロン内に誘起されるカラー励起状態の大きさなどを見積もった 2.チャームクォークを含むハドロンと中間子の相互作用を理解すべく、ハドロン3点関数の計算を行った 3.A粒子の性質を理解するため、複数の演算子を用いて相関行列を対角化し、スペクトルの研究を行った これらの研究はまだ完成されていないものの、現時点でpreliminaryな結果を得ている。これらの結果は、国際会議等で発表が予定されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハドロン間相互作用を理解するためには、様々なチャネルの計算が必要である。チャネルごとにクォークプロパゲータの解き直しが必要となるのであるが、想像以上に時間がかかることがわかった。これを回避するため、新たな改善方法を模索し、テストする必要があった。そのため、当初の予定より遅れ気味となった。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度終了時点で、方法の改善、テスト計算はおおむね終わっており、今後は、これらの計算を進めることが研究の中心となる。
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