公募研究
海洋天然物の中には多置換ピラン構造を含む複雑なマクロリド化合物が数多く存在し、その多くが非常に強力な細胞毒性を示すことから、新たな抗がん剤開発のリード構造として期待される。これら海産マクロリド天然物の実践的全合成を実現するためには、反応集積化を利用した合成戦略による合成ルートの短工程化・高効率化が重要である。本研究では、同一時空間反応集積化を活用したテトラヒドロピラン環の効率的合成法の開発と実践的な天然物全合成への展開を目的とした。本年度は、選択的な抗ガン作用を示す海産マクロリド天然物イグジグオリドの構造単純化類縁体の合成を行った。昨年度、交差メタセシス反応と分子内oxa-Michael反応を連続的に行う同一時空間反応集積化による2,6-シス置換テトラヒドロピラン環合成法に、時間集積化による還元的エーテル化を組み合わせることにより、メチレンビステトラヒドロピラン骨格の高立体選択的なワンポット合成を達成し、イグジグオリドの天然型鏡像体の世界初の全合成を達成した。本合成戦略を活用して、天然物のC15,C18位メチル基のない構造単純化類縁体、およびそのC9,C13位に関するジアステレオマーの合成研究を進めた。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Tetrahedron
巻: 67 ページ: 4995-5010
10.1016/j.tet.2011.03.114
巻: 67 ページ: 6600-6615
10.1016/j.tet.2011.05.082
Chemical Research in Toxicology
巻: 24 ページ: 835-842
10.1021/tx200038j
Pain
巻: 152 ページ: 1052-1060
10.1016/j.pain.2011.01.018
European Journal of Organic Chemistry
ページ: 4654-4666
10.1002/ejoc.201100242
Chemistry-A European Journal
巻: 17(in press)
10.1002/chem.201003135
http://www.agri.tohoku.ac.jp/kanshoku/publab_2011.html