研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
22106520
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 智也 京都大学, 工学研究科, 准教授 (10378804)
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キーワード | 反応集積化 / ヘテロ環合成 / ロジウム / イソシアナート / 多成分連結反応 |
研究概要 |
γ位に置換基をもつアリルボロナートを用いたアルデヒドのアリル化反応は、ジアステレオ選択的にホモアリルアルコールを合成する有用な方法である。この反応ではアリルボロナートの幾何を反映して立体特異的に進行するため、アリルボロナートの幾何を選択的に合成することが、アリル化反応をジアステレオ選択的に進行させるうえで重要な鍵となる。今回、末端アルキンとピナコールボランから容易に合成可能な1-アルケニルボロナートが、ロジウム触媒の存在下で(E)-アリルボロナート((E)-2-アルケニルボロナート)の合成等価体として振る舞い、ジアステレオ選択的にanti体のホモアリルアルコールが得られることを見出した。さらに、末端アルキンとシリルボランから容易に合成可能な2-シリル-1-アルケニルボロナートを用いると、選択性が逆転してsyn体のホモアリルアルコールが得られることも見出した。 [Rh(nbd)(CH_3CN)_2]SbF6鉗体とdppmから調製したロジウム触媒の存在下で4-クロロベンズアルデヒドに(Z)-1-ペンテニルボロナートを作用させると、1-(4-クロロフェニル)-2-エチルブタ-3-エン-1-オールが収率86%、anti/synの比が96:4のジアステレオ選択性で得られた。本反応はロジウム触媒によるアルケンの異性化反応により(E)-2-ペンテニルボロナートが生成し、ついで(E)-2-ペンテニルボロナートのアルデヒドへの付加反応が6員環いす型遷移状態を経て進行し、anti体のホモアリルアルコールを与えたものと考えうれる。次に、様々な(Z)-1-アルケニルボロナートを用い、4-クロロベンズアルデヒドのアリル化反応を試みたところ、高い収率かつ高いジアステレオ選択性で対応するanti体のホモアリルアルコールが得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度は当初「多成分連結反応を鍵とするインドールの迅速合成」の研究を行う予定であったが,研究の途上で「アルデヒドのジアステレオ選択的な新しいアリル化反応」を見出すことができ、当該領域の推進により貢献できた。
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今後の研究の推進方策 |
末端アルキンとシリルボランから容易に合成可能な2-シリル-1-アルケニルボロナートを用いると、1-アルケニルボロナートを用いたときとは選択性が逆転してsyn体のホモアリルアルコールが得られることを見出したので、今後はこの反応について詳細に研究を進めていく。
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