研究概要 |
資源の少ない我が国において,エネルギーや物質の有効利用を可能にする環境調和型かつ高機能な材料の開発は,重要な課題の一つである.本研究では,金属の核数と距離が精密に規定された金属酸化物クラスターの配列制御による機能性固体(吸着分離,吸蔵,触媒,イオン伝導,磁性・電子材料)の構築を,サブナノ~ミクロンレベルで行うことを目的とした.当該領域「配位プログラミング」が目指す「機能階層的な超構造体を設計通り精密に組み上げる」,「分子機能を組織化して高効率出力するナノサイズ化学素子の開発」という目的と合致する.平成23年度は,無機ユニット(金属酸化物クラスターであるポリオキソメタレートアニオン)と有機ユニット(カチオン性金属錯体や有機アンモニウム)の協奏による機能発現に重点をおいて研究を進めた.昨年度の成果として,(1)イオン交換により水及びアルコール吸着能が変化する多孔性固体,(2)形状選択的にオレフィンの酸化反応が進行する複合体触媒,が挙げられ,今年度は昨年度の知見を生かし,(3)オレフィンを高選択的に吸着する多孔性固体,(4)形状選択的にピナコール転位(=酸反応)が進行する複合体触媒,(5)二酸化炭素とアセチレンの分離が可能な多孔性固体,の創製を行った.これらの成果はいずれも,無機ユニットが吸着・反応活性点として機能し,有機ユニットが吸着・反応に適切なナノ空間の構築に関わっており,目標として掲げた「無機-有機ユニットの協奏」に成功したといえる.
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