研究概要 |
微生物を固定化するための化学素子となる人工シデロフォアおよびそれらの鉄錯体を複数合成し,その基本的物性について各種スペクトル測定および電気化学測定により評価した.続いて,合成された人工シデロフォアの生理活性に関して微生物の培養実験により検討したところ,人工シデロフォアの末端置換基の形状により,人工シデロフォアが微生物内に取り込まれる速度に違いが生じることが観測された. 次に,得られた人工シデロフォア錯体を自己組織化法により金電極上へ修飾した.金電極上への人工シデロフォアの修飾は,まず活性エステル基を有するジスルフィドをリンカーとし金電極上に修飾し,その活性エステル部位と人工シデロフォア鉄錯体の末端アミノ基を縮合反応させることにより,目的の人工シデロフォア修飾基板を得た.電極上への被覆率は,サイクリックボルタンメトリー測定による修飾された人工シデロフォアの酸化還元波の電流量から見積もられた. 得られた人工シデロフォア修飾電極を用い,水晶振動子マイクロバランス法により微生物の吸着実験を行ったところ,微生物の種類,修飾されている人工シデロフォアの構造に応じて微生物の選択的な吸着が観測された.微生物の検出限界は現段階で10^4CFUmL^<-1>であった.続いて検出限界向上のための金微粒子であるにAu_<55>ナノクラスターを既知法に従い合成した.現在,更なる得られたAu_<55>ナノ微粒子への人工シデロフォアの修飾実験を行っているところである.
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