研究概要 |
本研究では、高次構造および不斉会合特性を有する生体分子を土台分子として着目し、自己組織化に基づく配位プログラムにより発光特性や触媒能を有する機能性金属錯体やπ共役系分子の緻密配列制御を行い、機能性超構造分子システムを創製することを目的とする。本年度は、核酸塩基部位を有する発光性白金錯体の設計合成と空間制御に基づく発光機能制御について検討を行った。 核酸塩基部位としてウラシル誘導体、発光性金属錯体としてフェニルビピリジン白金錯体誘導体に着目した。オクトキシ基を有するフェニルビピリジン型白金錯体と、6-エチニル-1-オクチルウラシルをカップリングさせることによりウラシル部位を有する白金錯体Pt-U6を合成した。Pt-U6の固体状態の発光スペクトルにおいて、720mm付近に白金-白金相互作用に起因するMMLCTに基づく発光が確認された。 白金錯体を配列制御するための土台分子として、ウラシルと三点で水素結合が可能な2,6-ジアミドピリジン部位を二つ有するナフタレン土台分子NDを合成した。土台分子NDを用いた相補的水素結合に基づく白金錯体の配列制御について検討を行った。発光スペクトルにおいて、白金錯体Pt-U6単体では590nm付近に^3MLCTに基づく発光が観測された。一方、白金錯体Pt-U6と土台分子NDとの混合系では白金錯体単体由来の^3MLCTに基づく発光が減少し、新たに700~800nm付近に白金-白金相互作用に基づく^3MMLCTによる発光が観測された。土台分子NDが効率的な土台として機能し、白金錯体Pt-U6の配列制御が可能になったと考えられる。
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