公募研究
金属配位子としてふるまうπ共役系分子分子は、錯形成やそれにともなう骨格変換に基づいた電子および光物性の変調が可能であり、機能性マテリアルへの応用展開が期待できる。たとえば金属イオン架橋によってらせん構造が形成されれば、π共役系部位のねじれに起因した分光特性を発現することが可能となる。ジピリンユニットがピロールα位間で直接連結した2量体ビジピリンは、Zn^<II>架橋によって[2+2]型二重らせん構造を構築することが知られている。しかし、おそらくこの二重らせん型錯体が特定の条件下において溶液中で容易にラセミ化するため、これまでビジピリンからなるこのキラルなπ空間に関する知見がまったく得られていないのが現状である。そこで、安定なキラルπ空間(二重らせん型錯体)形成を目標とし、ジピリン2量体-Ni^<II>錯体([2+2]型環状錯体)を出発原料として、2個のビジピリン配位子を部分ユニットとした共有結合マクロサイクルの合成、さらにZn^<II>4核錯体cBDPR_2・Zn_4の形成に成功した。cBDPR_2・Zn_4は二重らせん構造に起因したエナンチオマーの混合物として存在し、それらが光学分割可能であること、さらに高い安定性を有することを見出した。種々の溶媒中において各種分光測定を行い、外部刺激(温度など)によってばね(二重らせん)構造が制御されることを見出した。たとえば2-メチルTHF中で温度に依存した紫外可視吸収スペクトル変化を示し、円偏光二色性(CD)スペクトルでは、低温でのCD強度の上昇が、溶液状態およびガラス状態(<-136℃)において観測された。また溶液状態と比較して、ガラス状態では低温において蛍光強度の顕著な上昇が確認された(Chem.Eur.J.2010)。
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