本研究では、触媒担体となる酸化物表面上に直接金属ナノ粒子精密合成空間「表面プログラム空間」を構築し、その空間内部で金属原子数、元素組成、酸化数が揃った金属ナノ粒子を合成する新しい金属ナノ粒子精密合成法、テンプレート電気化学法の開発を行い、高い触媒活性を示す金属ナノ粒子のみを選択的に作り分ける方法を開発する。金属原子数と元素組成を精密に制御した金属ナノ粒子を「表面プログラム空間」で合成し、構造が既知である金属錯体をナノ粒子前駆体として表面プログラム空間に集積する方法を考案した。具体的には、空間のサイズを決める鋳型分子をテンプレート、「プログラムテンプレート」として酸化物表面に固定化し、その周囲に有機及び無機薄層マトリックスを積層し、最後にテンプレートの脱離を行うという、金属錯体が一定数集積可能な配位サイトを有する「表面プログラム空間」の一連の構築方法を考案した。 新規プログラムテンプレートには錯体の集積に十分な表面積を有し、且つ酸化物表面上に平行に固定化が可能な亜鉛ポルフィリンを骨格に、薄層シリカマトリックスに固定化が可能なアルコキシシリル基と、ポルフィリンの脱離と、金属錯体を固定化可能なアミノ基の導入が同時に可能なカルバミド結合を連結した設計とし、本テンプレートの合成に成功した。続いてピリジン配位子修飾シリカにテンプレートの固定化を行い、FT-IR、固体^<13>C NMR、UV-visスペクトル、元素分析等のキャラクタリゼーションにより、本プログラムテンプレートが固定化されたシリカを調製することに成功した。
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