有機モジュールと金属イオンの錯形成によって形成する一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーは、用いる有機モジュールと金属イオンの組み合わせにより、任意の構造や形状を持たせることができるだけでなく、電気化学的酸化還元等によりポリマーの電子状態を変化させることができるため、従来にない電子機能の発現が期待される。本年度、次の2項目に関する研究を行った。(A)配位プログラミングされた一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーの開発、(B)配位プログラミングされた一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーのデバイス応用。その結果、以下の成果を得た。 アゾ基を有する有機モジュールを設計・合成し、そのコバルトイオン錯体をモノマーとして、脱水縮合反応によって、主鎖にコバルトイオンが連続的に導入され、その金属イオンの位置が精密制御された新しい一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーの合成に成功した。重合反応の進行はNMRにより確認できた。得られたポリマーの電気化学特性をサイクリックボルタンメトリー測定から明らかにした。本ポリマーの一次元直鎖状構造は原子間力顕微鏡より確認することができた。次に、一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーのデバイス応用と目的として、本ポリマーフィルムを用いた不揮発性メモリデバイスを作製した。その駆動特性を調べたところ、コバルトイオンの酸化還元に応答して優れたRAM特性及びROM特性を示すことを見出した。以上の結果から、一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーがデバイス応用可能であることを実証した。
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