研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
22108535
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
樋口 昌芳 独立行政法人物質・材料研究機構, 高分子材料ユニット, グループリーダー (80306852)
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キーワード | 超分子ポリマー / 電子デバイス / 配位プログラミング |
研究概要 |
有機モジュールと金属イオンの錯形成によって形成する一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーは、用いる有機モジュールと金属イオンの組み合わせにより、任意の構造や形状を持たせることができるだけでなく、電気化学的酸化還元等により、ポリマーの電子状態を変化させることができるため、電子やホールを蓄えたりする機能の発現が期待される。昨年度(平成22年度)において、アゾ基を有する有機モジュールを設計・合成し、そのコバルトイオン錯体をモノマーとして、脱水縮合反応によって、主鎖にコバルトイオンが連続的に導入され、その金属イオンの位置が精密制御された新しい一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーの合成に成功した。さらに、一次元直鎖状メタロ超分子ポリマーのデバイス応用と目的として、本ポリマーフィルムを用いた不揮発性メモリデバイスを作製した。その駆動特性を調べたところ、コバルトイオンの酸化還元に応答して優れたRAM特性及びROM特性を示すことを見出した。本年度は、ベクトル制御された一次元鎖状メタロ超分子ポリマーの合成手法を開発することを目的として、金属錯体をモノマーとして脱水重縮合によってメタロ超分子ポリマーを得るというこの新しい合成手法を、より一般的な合成手法として確立することを目指した。その結果、有機モジュールのスペーサー部位を任意に変えることに成功した。また、ポリマーフィルムを用いた電子デバイスの作製を目的として、昨年度得られたコバルトイオンを含むメタロ超分子ポリマーに関して、その電気化学特性を詳細に明らかにした。さらに、本新学術領域の東工大小坂田教授との共同研究を行い、電気化学的酸化還元特性に優れた環状有機分子の開発に成功した(Ide et al.,J.Org.Chem.,2011)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究の目的は、配位プログラミングを用いたメタロ超分子ポリマーの合成とその電子デバイス応用であったが、(1)合成に関して、重縮合を用いた新しいメタロ超分子ポリマーの合成方法の開発に成功した。また、(2)デバイス化に関して、研究計画段階では予想していなかった極めて優れた不揮発性メモリ特性を、メタロ超分子ポリマーが有することを発見した。これらの成果は、新規性・独創性が高く、当初の計画を上回る成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度(平成23年度)をもって本研究プロジェクトは終了するが、今後は、メタロ超分子ポリマーの合成方法と不揮発性メモリデバイス特性に関する上記の成果をもとに、学術面と応用面の両面から更にメタロ超分子ポリマーの研究を推し進めていきたい。
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