公募研究
本年度は、流通式水熱反応実験装置を設計・構築し、Siに過飽和な水溶液からのシリカ鉱物析出実験を行った。シリカ析出実験により、シリカ鉱物の析出様式が過飽和度と微量に含まれるAl濃度によって系統的に変化することを見出した。Alのまったく含まれない純粋なSi溶液からは、アモルファスシリカが析出するのに対して、2-3ppmのAlが含まれ場合はクリストバライトが卓越し、より高濃度の場合は石英が支配的な析出物になる。また、析出速度はAlの量が増加するに従い大きくなる。地殻には長石等のAlを含む鉱物が多く存在するため、このAl濃度は地殻におけるシリカ析出に対して大きく影響すると考えられる。また、析出様式は、石英基盤からの成長と核形成を伴う析出(準安定鉱物の形成を含む)に分けられるが、従来の研究では前者の反応速度のみしか分かっていない。本研究では、基盤が存在しない条件下での反応速度を導出し、温度とAl濃度の依存性の影響を評価した。これにより、表面反応と核形成両方を含む包括的な反応速度式の導出に成功した。これは、地殻における石英脈形成や地熱発電のスケール形成まで幅広く適用可能である。また、人工的に石英脈を作成する実験を行い、複屈折イメージングシステムを用いて解析を行い、結晶方位と結晶形状の発達を定量的に評価した。これにより、鉱物脈の組織から、き裂閉塞時の間隙構造の変化を予測することを可能とする。また、多孔質媒体中にシリカが析出する際の透水率変化を測定し、周囲の管壁が変形しえる条件下では、特徴的な振動が発生することを見出した。この現象をより詳細に理解することは、地震発生のサイクルと流体圧の変化との関係に新しい視点が与えられると期待される。
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Journal of Structural Geology
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Earth and Planetary Science Letters
巻: (未定)(印刷中)
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