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2010 年度 実績報告書

湧水のリチウム同位体を用いた島弧地殻深部流体の起源の解明

公募研究

研究領域地殻流体: その実態と沈み込み変動への役割
研究課題/領域番号 22109511
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

西尾 嘉朗  独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 研究員 (70373462)

キーワード地殻深部流体 / 地震発生予測 / リチウム同位体 / 1995神戸地震 / 地震断層流体 / 西南日本 / スラブ起源流体 / 南海地震予測
研究概要

(1)リチウムを高濃度に含む地下水のリチウム同位体組成は,その地域の非表層水(深部流体)のリチウム同位体組成と見なせる。そこで,本年は100試料程度の中国・近畿・中部地方のリチウム濃度が高い地下水試料のLi同位体分析を実施した。その結果,前弧域の地下水が特徴的に高い^7Li/^6Liを持つことが明らかとなった。このような海溝からの距離といったセッティングとの間の相関の存在は,浅い部分の影響ではなく,沈み込んだスラブといった深い情報を,浅い部分の試料(地下水)のリチウムが持つ可能性を示唆する。
(2)1995年神戸地震に関わる須磨断層付近の湧水の地震以降の15年にわたるリチウムとストロンチウムの同位体組成の時系列変化を明らかにした。その結果,1995年神戸地震以降,^7Li/^6Li比と^<87>Sr/^<86>Sr比が共に高くなってきている傾向を発見した。さらに現在の須磨断層付近の湧水調査を実施した結果,断層直上に周辺に比べて,低い^7Li/^6Li・低い^<87>Sr/^<86>Sr比の湧水が特徴的に存在することが明らかになった。この事から,地震直後の湧水の低^7Li/^6Li・低^<87>Sr/^<86>Sr比は,断層を通じて地表の放出される地殻深部流体の寄与が多かったことを意味する。さらに1995年神戸地震では地震前から塩素濃度が上昇する傾向が報告されており,これが地殻深部流体の寄与によるものであるなら,地殻深部流体の優れたツールであるリチウム同位体指標も,地震発生予測の優れた指標になる可能性を意味する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Lithium and Strontium isotopic systematics of water around Ontake volcano, Japan : Implications for deep-seated fluid and earthquake swarms2010

    • 著者名/発表者名
      Nishio, et al.
    • 雑誌名

      Earth and Planetary Science Letters

      巻: 297 ページ: 565-574

    • 査読あり
  • [雑誌論文] リチウム同位体が拓く地殻流体科学2010

    • 著者名/発表者名
      西尾嘉朗
    • 雑誌名

      地質ニュース

      巻: 670 ページ: 13-21

  • [学会発表] LITHIUM ISOTOPE : NEW TOOL ON GEOFLUID RESEARCH2011

    • 著者名/発表者名
      Nishio, Y.
    • 学会等名
      First International Symposium on Geofluid
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2011-03-17
  • [学会発表] リチウム同位体地球化学2010

    • 著者名/発表者名
      西尾嘉朗
    • 学会等名
      2010年資源地質学会シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      2010-06-23
  • [学会発表] 御嶽火山南東麓で起こる群発地震に関与する流体の起源2010

    • 著者名/発表者名
      西尾嘉朗
    • 学会等名
      日本地球惑星連合大会2010年大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉)国際会議場
    • 年月日
      2010-05-24
  • [備考]

    • URL

      http://www.jamstec.go.jp/seika/pub-j/res/ress/nishio/index.html

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公開日: 2012-07-19  

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