| 研究概要 |
気液プラズマのナノ界面を活用し,ナノ粒子間の間隔を自在に制御できる高秩序化構造体「ナノ粒子結晶」を創製することを目的として,初年度は,強磁場を印加できる気液プラズマ実験装置を製作し,気液界面領域での揺らぎ(不安定揺動)の構造を形成・計測するとともに,気相中の構造を液相表面へ転写してナノ粒子を合成する実験を行った.
1.液相のイオン液体に接触している気相プラズマ中へ挿入した小半径ディスクへの正バイアス(V_c)印加により,コヒーレントな高強度のプラズマ揺動が観測され,磁場印加によりブロードな乱流的プラズマ揺動に変化することを明らかにした.この乱流的プラズマを制御することにより,ナノスケールの構造形成が期待できる.
2.気液プラズマのナノ界面へのプラズマイオン照射によりイオン液体を解離し,その解離した官能基で修飾したカーボンナノチューブをテンプレートとして用いることにより,官能基の位置に選択的に合成される金ナノ粒子の密度や間隔を制御することに成功した.
3.強磁場(1～4テスラ)印加中でメッシュアノードにより周期構造を有する気相プラズマを生成し,そのプラズマを照射することで,イオン液体表面にプラズマ構造を転写した周期構造のナノ粒子を形成できることを実証した.
4.過冷却の起こりにくいイオン液体を用いて,ペルチェ素子による冷却を行ったところ,数分の時間スケールでイオン液体を固体化できることが分かった.この結果,3で形成したイオン液体中の周期構造ナノ粒子を固体化して,大気中へ取り出すことができ,種々の物性計測を可能とした.
|
