研究概要 |
本研究は、SiCl_4/H_2系RFプラズマCVD(RF PE-CVD)法によるナノ結晶Si(nc-Si)ドットの直接形成と太陽電池素子への応用を目的とする。これまで塩素系原料(SiH_2Cl_2, SiHCl_3, SiCl_4)を出発原料としたPE-CVD法による低温結晶化機構を検討してきた。その結果従来のSiH_4/H_2系に比較して1)成長初期からアモルファスから結晶への遷移層の形成なしに直接結晶成長が可能、2)成長表面が基板温度:T_sおよび水素希釈率により水素、塩素被覆率が制御可能、3)(111)から(220)優先結晶配向性の急峻な転移温度の存在等の特徴を明らかにしてきた。特に成長初期のプラズマパラメータの制御によりnc-Siドットのサイズおよび密度分布の制御および位置制御について検討した。またドットの安定性を大気酸化、酸・塩基によるリンスによる発光エネルギーおよび発光強度の変化について考察した。更にそれらの発光特性の改善および多層構造によるPL発光の設計を通して結晶Si系太陽電池素子への展開を目的とする。具体的には以下の成果を得た。1)nc-Siドットの低温直接形成を検討した。プラズマ制御因子によりドット密度、サイズ分布制御が可能であることを実証した。2)熱酸化SiO_2の希フッ酸処理によるSiOHサイト密度とnc-Siドット密度との相関を明らかにした。これらのnc-Siの可視発光特性、安定性を各種ガス、溶液リンスで考察した結果塩酸によるリンスが最もPL強度および安定性向上に有効であることがわかった。3)処理したnc-Siドットを内包するMOSダイオードを試作し、電荷注入・保持・放出特性を確認した。
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