研究概要 |
本年度は,発光スペクトル測定によるプラズマ活性化学種の同定,水界面での反応による生成物の特定を中心に研究を進めた。特に,2種類の大気圧CO_2プラズマ(マイクロ波励起及びレーザーブレークダウン)により生成する活性種を水界面で反応させ,水中に生成する活性種や進行する酸化生および還元性反応について明らかとした。 マイクロ波誘起大気圧CO_2プラズマおよびレーザーブレークダウンCO_2プラズマで生成する活性種を,発光スペクトルを測定することにより特定した。主な生成活性種は,CO^+,CO_2^+,O,COなどであることを明らかとした。また,それら活性種の電子励起状態が,マイクロ波励起およびレーザーブレークダウンとで異なる事を初めて見出した。 大気圧CO_2プラズマ活性粒子を水界面と反応させた。水にラジカル捕捉剤を添加して,プラズマ粒子との反応の生成物を確認することにより,酸化反応および還元反応の進行について確認した。例えば,ヨウ素イオンを溶解した溶液中では,I_3^-の生成が確認された。つまり,酸化性反応が進行する事が明らかとなった。プラズマ中の生成活性種を考えると,以下の反応が進行する事が示唆された。 1)水界面でのO原子ラジカルによるI^-の直接酸化反応 2)水界面で生成したOHラジカルによる酸化反応 3)過酸化水素によるバルク中での酸化反応 一方,還元性反応として,CO_2^-による還元反応が進行する事をニトロブルーテトラゾリウムをラジカル捕捉剤として用いた実験により見出した。
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