公募研究
現在、カーボンナノチューブやナノダイヤモンドに代表されるナノカーボンが科学分野並びに産業分野において注目されている。数あるナノカーボンの製造法の中でもっとも期待されているものが低温でこの物質を形成できるプラズマを用いた手法である。特に、プラズマにおいては、気相においてナノカーボンが大量に発生することが知られており(微粒子プラズマ)、プラズマとナノ物質との界面における化学反応を明らかにすることによって、ナノカーボン作製プロセスの著しい向上に期待できる。また、プラズマ気相において、結晶生成物(ナノダイヤモンド)が形成されることが確認されている。通常高温環境が必要とされる物質が形成されることについては、プラズマが電子及びイオンの温度について非平衡であることが関係すると考えられる。本研究では、プラズマ中の微結晶ナノカーボン(微粒子)の形成機構を解析するために、熱的非平衡環境であるプラズマとナノカーボンとの界面における熱ダイナミクス(微粒子の表面温度と運動エネルギーとの関係)を明らかにすることを目的とする。非加熱のフッ素添加カーボンスパッタリングプラズマにおいて、微結晶生成物(ナノグラファイト)の生成を確認し、その生成機構について考察を行った。ここでは、特にフッ素と炭素の反応による生成熱がグラファイトの形成に寄与している可能性があることがわかった。また、数マイクロメートルの微粒子に対して、蛍光計測並びに運動速度計測を行い、微粒子の表面温度並びに運動エネルギーの解析を行った。次年度もこれらの計測を継続する予定である。
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IEEE Explore, TENCON 2010-2010 IEEE Region 10 Conference
巻: 10.1109/TENCON.2010.5685966 ページ: 158-163