レーザアブレーションが超臨界中や液体中で微粒子生成等に適用されるようになってきており、固体のレーザアブレーション時における媒体の密度変化を計測することは重要な課題である。本研究が行った空気中におけるシリコンなどの固体のアブレーションに関する光波マイクロホン計測の結果、空気中で固体にレーザを照射した際、レーザのエネルギー密度がアブレーション閾値を超えない領域では固体表面からの光熱音響波が検出されることがわかった。これにより固体表面の温度を見積もることができる可能性がある。また、アブレーション時は、衝撃波と粒子群による信号が観測された。固体表面近傍で発生した衝撃波は、その発生要因であるアブレーション粒子群のヘッドの速度が空気との衝突によりある距離で音速にまで減衰した時点で音波となって先行し、その後空気中の場合はかなりの時間遅れてアブレーション粒子群が通過していくと考えられる結果を得た。粒子群の速度は数~数10m/sと見積もられた。光波マイクロホンは一つのセットアップで上記のような変化を捕らえることができる新規な光学的位相変化検出法であり、アブレーション閾エネルギー密度や粒子の時間・空間的分布が計測できることがわかった。また、水中で同様の実験を行った結果、空気中に比べ感度が良いことを確認した。
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