研究を始めるに当たり、本研究分野(宇宙背景輻射と重力レンズ)の専門家である高田昌広准教授(東大IPMU)と井上開輝准教授(近畿大)に弘前大に来て頂き、セミナーをして頂いた。その際、両名には数日滞在してもらい、有益な議論も行った。最先端の研究テーマや研究の現状を知ることが出来た。 2010年11月につくば市の高エネルギー加速器機構で開かれた国際会議ExDiP2010に参加し、「Estimating B-mode polarization of CMB induced by gravitational lensing of intervening matter using ray-tracing simulation」というタイトルで口頭発表を行った。研究の進捗状況と今後の計画について発表し、参加者とも有益な議論を行った。 宇宙の大規模構造をN体数値シミュレーションを用いて用意した。計算コードはGadget2(Springel 2005)を用い、計算機は国立天文台天文シミュレーションプロジェクト(CfCA)の並列計算機(Cray XT4)を用いた。ボックス長は100Mpc/h、粒子数は512^3とした。平均粒子間隔は0.2Mpc/hとなり、これは角度分解能にすると約20秒角(赤方偏移z=1)となり、将来の偏光観測には十分な分解能がある。シミュレーションで用意した粒子データは科研費で購入したハードディスクに保存してある。宇宙の非一様密度分布を伝播する際の、レイトレーシングシミュレーションを現在行なっている。テスト計算は昨年秋に終わったので、現在本格的な計算を進めている。
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