平成23年度は、超軽量化を目指した超伝導磁石の製作と実証化を目標に開発研究を行った。 研究年度の前半は、主に超伝導磁石の設計検討に主眼を置いた。並行して超伝導磁石の製作に必要な極細専用のテンショナー付線材繰り出し機を導入し、その整備を平成23年度9月に完了した。 超伝導磁石の設計の設計期間は平成23年10月末完了を目標とし、次の検討を行った。 (1)断熱磁気消磁冷凍機の性能を決定するソルトピルの容積確保のため、超伝導磁石のボアサイズを70mm径とし、中心磁場は最大で3T、平均で2Tを目指す。 (2)超伝導磁石励磁に伴って発生する交流損失が前段の機械式冷凍機の熱負荷となるため、励磁パターンによる交流損失をそれぞれ求め検討する。 (3)超伝導磁石の安定性解析と磁石保護について検討する。 以上の検討結果から、超伝導磁石を軽量化構造とするため、超伝導磁石の構造をボビンレスとして構造設計を行った。この設計を基にボビンレスコイルを巻く巻き枠の設計・製作を行い、φ0.1mmの絶縁被覆付銅線を極細超伝導線(φ0.12mm)のダミー線とした仮巻きを行った。 この仮巻きから、ボビンレスコイルを巻く際に超伝導線に加える張力や巻き枠速度等の製作パラメータを確認した。また、仮巻きで製作したダミー線製ボビンレスコイルの強度試験並びに断面構造の確認を行い、ボビンレス構造を持つ磁石が励磁の際に必要な強度を持つことを確認した。 上記の設計検討とは別に平成23年6月に米国で開催される低温会議(CEC/ICEC2011)に出席し、研究に必要な情報を収集した。
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