公募研究
超伝導遷移端温度計(TES)センサアレイは、極低温で動作し、低ノイズ、すぐれた分光能力を持つため、将来のマイクロ波天文学やX線天文学の両者において非常に有望な検出器である.しかし、極低温への熱流入を抑える信号多重化の方式が未熟であり、大規模アレイ実現のための課題である。本研究では、TESの信号をAM変調し多重化する周波数分割方式の開発を進めた。特に、多重化に必要となるSQUIDの開発を行った。これまで使用していた複数の入力コイルを持つSQUIDではなく、SQUID直近でTESの信号を電流として加算するSQUIDを製作した。また、宇宙用のSQUIDでは非常に発熱を抑える必要があるため、SQUIDの発熱を極力抑える設計とした。典型的な宇宙用の冷凍機の50mKの冷凍能力のもとで、32個のSQUIDを駆動することが出来ると計算される。SQUIDと超伝導コイル、マイクロストリップ線路を組み合わせたチップを作し、ベースバンドブィードバックの動作ができることを検証した。ただし、当初予定していたTESと組み合わせたACバイアス下の性能の測定は実現しなかった。実験的研究と並行して、宇宙の形成や構造進化の解明に向けたX線による観測的研究やシミュレーションも実施した。特に、宇宙のバリオンの半数は未だ観測されていない中高温銀河間物質だと考えられているため、その探査を行った.Shapley超銀河団やA2142銀河団の外縁部を「すざく」衛星を用いて探査した。中高温銀河間物質の証拠を検出することをできなかったが、既存の検出器の検出限界について知見を得ることが出来た。また、TESカメラを使った将来衛星による中高温銀河間物質の観測をシミュレーションし、検出限界、得られる3次元マップの精度、相関関数を研究した。
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