公募研究
本研究では、蛍光イメージングを用いた細胞内シグナルの可視化技術により受精における卵側からの精子機能調節機構を明らかにすることを目的とし、カタユウレイボヤ精子運動活性化、走化性遊泳、卵到達時に精子細胞内で起こるシグナル変化に着目して研究を推進している。平成22年度は、カタユウレイボヤ精子運動活性化に関与するアデニル酸シクラーゼに着目し分子の同定およびシグナル伝達経路の解明を目指した。また顕微鏡用LEDストロボ照明装置の改良を行い、精子運動活性化時のカルシウムシグナルを捉えることに成功した。その結果、卵由来因子SAAFと細胞内cAMP上昇、過分極はいずれも精子運動活性化を引き起こすが、精子におけるカルシウムシグナルの挙動はそれぞれの条件で異なることを見出した。これらの成果についてはThe 5th International Tunicate Meeting、FASEB Summer Research Conferences : The Biology of Cilia and Flagellaにおいて報告した。新規の技術開発として、pH、膜電位などの蛍光プローブによる精子細胞内イメージング技術およびマイクロマニピュレータによる単一精子制御技術の確立を試みている。また名古屋大学との共同研究により、カタユウレイボヤ自家不和合性において精子が卵側の因子を認識する際のカルシウムイメージングを行い、精子の自己非自己認識にカルシウムが関与していることを明らかにした。この成果についてはBMB2010において報告した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
Cell Struct Funct.
巻: 36(1) ページ: 69-82
Developmental Biology
巻: 348(1) ページ: 67-75
http://www.shimoda.tsukuba.ac.jp/ronbun.html