公募研究
本研究では、アオサ藻綱のヒラアオノリを用いて、配偶子に大小の雌雄差が生じる以前にすでにあるアロ(同種異個体)認証の機構を明らかにする。1.雌雄と連鎖する性的二形性の解析:野外で採集した藻類の個体から優れた培養株を確立することで配偶子の大小、交配型、接合部位の配向、オルガネラ遺伝の方向性などの調査を可能にした。長崎大学グループ(桑野ら)、筑波大グループ(宮村ら)と協同してヒラアオノリの培養系統を増やした。2.免疫サブトラクション法による性的二形性に関わる遺伝子の単離:雌雄の大小は接合装置の雌雄での非対称的な配置の延長線上にある性的二形成であることを明らかにしつつある。ヒラアオノリでは配偶子の異形化はわずかであるが、「免疫サブトラクション法」により雌(♀)の接合装置のみを認識する抗体を作成することに成功した。雄(♂)の接合装置を認識する抗体も調製中である。接合装置を構築するタンパク質とその遺伝子の探索に関しては、以下の2つの方法を用いて、雄(♂)あるいは雌(♀)に特異的な遺伝子の同定を試みている。1)免疫サブトラクション法で精製した抗体を用いた、免疫沈降法による抗原タンパク質の濃縮とアミノ酸配列を決定するため、ヒラアオノリ配偶体と配偶子を用いたプロテオーム解析を実施している。2)ESTライブラリーとcDNAクローンライブラリー構築:免疫サブトラクション法は実に簡便で、ゲノムデータが十分でない藻類でも雌雄の性的二形性に関わる遺伝子を同定できる可能性がある。免疫サブトラクション法は雌雄の配偶子が別々に単離できれば可能なので、筑波大グループと北大グループと共同で、培養可能な緑藻や褐藻はもちろん,培養が難しいものでも配偶体から放出された配偶子を野外採集することを検討している。また、現在、雌雄両配偶子のESTライブラリーを構築しており、雌雄間のESTサブトラクションが実施できる体制を整えた。
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