公募研究
生殖過程におけるペルオキシソーム機能の役割、特に分子認証システムへの関与を明らかにするために、シロイヌナズナのapem変異体を用いてイメージング解析を進めた。花粉、精細胞、卵細胞のペルオキシソームが可視化させた形質転換体にapem1~apem12変異を導入し、花粉管伸長など生殖過程におけるペルオキシソーム変異の影響を検討した。apem変異を導入した花粉では、apem5を除いて栄養細胞と同様のペルオキシソーム形成異常を示した。これら花粉を用いてin vitroにおける発芽実験を行ったところ、ほとんどのペルオキシソーム変異体では、野生型と同様に発芽する能力を有していることが明らかとなった。一方、in vivoでは、発芽はできるものの、野生型と比べ花粉管の伸長速度が遅いこと、野生型の花粉と共存するような状況では、野生型の花粉が優先的に雌蕊に進入する傾向が観察された。また、reciprocal crossの結果から、ペルオキシソーム機能・形成の欠損は雌性配偶子よりも雄性配偶子に影響を及ぼす傾向があることを明らかにした。植物特異的な新規ペルオキシソーム形成因子APEM9を同定し、apem9変異のホモ接合体は胚発生致死を示すことを明らかにした。加えて、ペルオキシソームタンパク質輸送に関わるユビキチン系遺伝子のapem変異体では、花粉管ガイダンスあるいは配偶子認識過程において異常を示すことが明らかとなり、このことはペルオキシソーム膜上でのユビキチン化の重要性を示唆している。このペルオキシソームが関わる配偶子認証システムのシグナル分子としてpHとH_2O_2濃度の変動に着目し、それらをモニターする蛍光プローブを発現している形質転換シロイヌナズナに、apem変異の導入を行った。現在、それらの植物体を用いたイメージング解析を進めている。
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