• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

非変性/変性対角線電気泳動による天然変性蛋白質の分離同定と翻訳後修飾解析

公募研究

研究領域天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現
研究課題/領域番号 22113518
研究機関東京医科大学

研究代表者

川上 隆雄  東京医科大学, 医学部, 客員准教授 (40366117)

キーワード天然変性蛋白質 / プロテオーム / 翻訳後修飾 / 蛍光ラベル / 蛍光標識二次元電気泳動 / 組織分泌蛋白質 / 肺腺癌 / 血清マーカー
研究概要

生理的条件下で球状構造をとらず、あるいは部分的に不規則領域(変性領域)をもつ一群の蛋白質は天然変性蛋白質と呼ばれる。生体内に存在する天然変性蛋白質を同定することは当該蛋白質群の構造と機能を理解するために不可次である。本年度は腫瘍組織から分泌される蛋白質群に解析の焦点を絞った。
肺癌の早期診断に有用な血清マーカーを探索する目的で、腫瘍組織から分泌あるいは漏出する一群の蛋白質を分析した。外科的に切除した12症例の肺腺癌組織および同じ症例の正常な末梢肺組織を各々無血清培地で短期培養した。培養上清中の癌組織および正常組織由来の蛋白質を、異なる蛍光波長を持つ色素化合物(CyDye試薬)でそれぞれ標識した。標識試料を症例ごとに混合後、各々二次元電気泳動で展開した。
二次元ゲル上で検出された蛋白質スポットのうち、34個のスポットは少なくとも5症例から検出され、かつ正常組織に対する癌組織の平均蛍光強度比が2.0以上を示した(p<0.05)。質量分析を含む解析手順により34スポットの全てから有意な蛋白質同定結果を得た。同定された蛋白質には、napsin Aやsurfactant protein Aなど、II型肺胞上皮細胞への組織学的分化を示す蛋白質が含まれていた。また、腫瘍組織全般に共通して発現の亢進することが示唆される蛋白質も同定された。以上の結果から、培養上清からのアプローチが肺組織特異的なマーカーの探索手段として妥当であると結論した。
同定されたマーカー候補蛋白質群を天然変性領域予測プログラムPonder-FITを用いて解析したところ、アミノ酸配列全長の半分以上が変性領域として予測される蛋白質が複数含まれていることがわかった。従来は分泌蛋白質の多くは変性領域を持たないとされてきた。今回の解析で得られた情報は、血中における候補蛋白質の分解様式などを論じる上で有用である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 肺腺癌細胞の分泌蛋白質群:外科的切除組織の培養上清に含まれる診断バイオマーカー候補の同定(Proteins Secreted by Lung Adenocarcinoma Cells : Identification of Candidate Diagnosis Markers from Culture Supernatants of Dissected Tumor Tissue)2010

    • 著者名/発表者名
      果然、平野隆、川上隆雄、〓雲波、野村将春、山口学、佐治久、垣花昌俊、大平達夫、池田徳彦
    • 雑誌名

      肺癌(Japanese Journal of Lung Cancer)

      巻: 50 ページ: 141-150

    • 査読あり
  • [学会発表] 肺腺癌組織の培養上清に含まれる分泌蛋白質群からの診断バイオマーカー候補の同定2010

    • 著者名/発表者名
      果然、川上隆雄、平野隆、〓雲波、野村将春、山口学、佐治久、垣花昌俊、大平達夫、池田徳彦
    • 学会等名
      日本プロテオーム学会 第8回大会
    • 発表場所
      東京ベイホテル東急(千葉県浦安市)
    • 年月日
      20100726-20100727
  • [学会発表] 病態診断のためのプロテオームバイオマーカー:探索、検証、および大規模スクリーニングへの適用(Proteomic Biomarkers for Clinical Diagnosis : Discovery, Validation, and Application to Mass-Screening)2010

    • 著者名/発表者名
      川上隆雄、荻原淳
    • 学会等名
      第58回質量分析総合討論会(日本質量分析学会)
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県つくば市)
    • 年月日
      20100615-20100618

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi