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2010 年度 実績報告書

高CO2順化に必須の遺伝子探索とその機能解析:植物は、なぜ糖尿病を患わないのか?

公募研究

研究領域植物生態学・分子生理学コンソーシアムによる陸上植物の高CO2応答の包括的解明
研究課題/領域番号 22114512
研究機関神戸大学

研究代表者

三宅 親弘  神戸大学, 農学研究科, 准教授 (80294289)

キーワード植物 / 二酸化炭素排出削減 / 地球化学 / バイオマス / タンパク質
研究概要

我々は、葉緑体でのmetylglyoxal(MG)代謝の解明を試みた。ホウレンソウ葉緑体で、MG依存のNADPH酸化活性(aldo-keto reductase(AKR)活性)を見出した。AKR反応のMGに対するKm値は1mM、最大速度(Vmax)は約200μmol NADPH(mg Chl)^<-1>h^<-1>であった。シロイヌナズナ遺伝子産物はAKR活性を示した。この遺伝子産物に対する抗体はホウレンソウストロマ画分タンパク質と反応した。この結果は、ホウレンソウにおいて遺伝子産物と相同性をもつタンパク質がAKRとして機能していることを示唆する。光照射下で、MG依存のphotochemical quenching of Chl fluorescence (Qp)がホウレンソウ葉緑体で観測され、MGが光合成電子伝達反応を促進させることが明らかとなった。さらに、MGは、葉緑体での光依存のO2吸収を促進した。O2光吸収反応のMGに対するKm値は、0.1mMでありVmaxは、約200μmol O2(mg Chl)^<-1>h^<-1>であった。光照射後、H2O2の蓄積が認められた。このO2吸収は、DCMUおよびDBMIBにより阻害された。さらに、嫌気条件下、MG依存のQpが抑制された。これらの結果は、MGがチラコイド膜光化学系Iで、Hill oxidantとして還元され、O2へ電子を与えることによりO2-を生成していることを示す。つまり、葉緑体で内在的に生成したMGは、AKRによる還元と比べて、PSI of thyalkoid membranesによる還元を優先的にこうむる。これは、植物葉緑体光合成および呼吸での糖代謝がもたらす酸化障害発生、植物糖尿病の発病トリガーとなりえる。

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公開日: 2012-07-19  

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