近年、機能性小分子RNAであるmiRNAが発生・分化といった様々な生命現象において重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある。miRNA生合成経路はまず一次転写産物であるpri-miRNAが核内においてDroshaによりプロセシングを受け、pre-miRNAへと変換される。次に、細胞質に輸送された後、Dicerにより成熟型miRNAに変換される。現在までのトランスクリプトーム研究により、膨大な数のmiRNAが同定されており、各miRNAの発現量や機能は個々の臓器や細胞ごとに多面的に調節されていると考えられる。まず、雌雄マウスの胎仔における成熟型miRNAの発現をmiRNAマイクロアレイにより検討した結果、雄性において発現量が高いmiRNAが約100種類あることを見出した。また、Pri-miRNAプロセシングの過程で、DroshaはDGCR8と共にタンパク複合体を形成することで、マイクロプロセッサーとして機能する。我々はこのDrosha複合体マイクロプロセッサー機能がY染色体遺伝子であるDBYにより雄性特異的に調節される可能性を見出した。現在はDBYの時期・組織特異的遺伝子欠損マウスの作出を試みている。
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