公募研究
近年の大規模なトランスクリプトーム解析の結果、ゲノムの大部分の領域が転写されていること、その大半がタンパク質をコードしないノンコーディングRNA(ncRNA)であることが明らかとなった。ncRNAの中で最大の構成員をもつものはmRNAと同じような遺伝子構造をもつ長鎖ncRNAであるが、その機能はほとんど謎である。そこで本研究課題では、長鎖ncRNAの機能及び作用マシナリーの解明を目的とした。本年度の研究により、我々はINK4遺伝子座近隣に存在する長鎖ncRNA、ANRILが細胞老化を抑制することを明らかとした。INK4遺伝子座にはCDKインヒビターp15、p16及びp53安定化因子ARFがコードされている。ANRILをノックダウンすると、p15及びp16のmRNA量が増加し、早期細胞老化が誘導された。またRIPアッセイの結果、ANRILはポリコームタンパクであるSUZ12と結合することが分かった。さらにANRILをノックダウンすると、INK4遺伝子座上のSUZ12結合量が顕著に減少した。これらの結果から、ANRILの機能として、ポリコームタンパクと結合し、INK4遺伝子座へのポリコームリクルートメントを促進することにより、この領域の転写を抑制するというモデルが考えられた。
すべて 2010 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
Experimental Cell Research.
巻: 316(20) ページ: 3342-3350
Cell Division
巻: 5:27 ページ: 1-10
http://www2.hama-med.ac.jp/w1a/bio1/index-j.html