研究概要 |
H22年度については,(1)音楽の相互認識技術,(2)音楽による相互引込み技術それぞれにおいて,一部前倒しを行いながら,研究を進めることができた.(1)については,自己生成音抑圧処理を高性能化して,残響も含めて実時間で処理できる技術を構築した.リズム認識や楽譜追跡処理については,パーティクルフィルタを用いて,演奏のリズムの揺れに頑健な技術を構築した.歌手・演奏ロボットに関しては,ビート予測処理を導入して,テンポ変化に追従できるテルミン奏者ロボットを複数のロボットプラットフォームを用いて構築し,システムの汎用性を示すことができた.(2)に関しては,画像処理とビート検出処理を統合して,人間のフルート奏者に追従する処理を構築した.これにより,ロボットが人の共演者となる機能が実現できた.ロボットの姿勢の変化に合わせて歌声の変更を行う聴覚アウェアネス機能については,一通りの構築および評価を終えることができ,雑誌論文としてまとめた.音楽ロボット全体の国際的アクティビティを高めていくため,IEEE/RSJ International Conference on Robots and Intelligent Systems(IRSO 2011)で,音楽ロボットに関するワークショップを開催し,17件の発表を集めた.また,新学術領域の領域会議の中で,雑音にロバストな音声インターフェースへの要望が高まっており,我々が開発を行っているロボット聴覚オープンソースソフトウェアHARKを適用して,領域全体への貢献するための検討を並行して行った.H23年度は,音楽処理に関連する個々の機能を統合して,実機ロボットを用いた実証実験を行っていくとともに領域への貢献を行うべく,ロバスト音声インターフェースの構築を行っていく予定である.
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