研究概要 |
研究目的 本研究の2010年度の目的は,(1)本研究の介入自治体である愛知県A町65歳以上高齢者のコホート研究により個人レベルと地域レベルのソーシャル・キャピタルと死亡・要介護認定との関連を明らかにする.(2)愛知県A町65歳以上高齢者を対象にソーシャル・キャピタルに関する調査を実施し,あらたな分析データを得ることなどであった. 研究方法・結果 (1)地域在住65歳以上2,449名を4年間追跡した分析から個人のソーシャル・キャピタルと死亡・要介護認定との関連では,人は他人を利用しようとすると回答していた者はそうでない者に比べて要介護認定が有意に多く,友人との交流頻度では,ほとんど毎日に比し年数回やほとんどない者では死亡・要介護認定が有意に多いことが明らかとなった.また,地域在住65歳以上5,758名を対象とした「憩いのサロン」開所前後での介護予防事業評価では,従来型介護予防事業に比して,多拠点での事業展開では利用・参加がしやすく,参加割合が高まる可能性が考えられた.(2)愛知県A町65歳以上地域在住高齢者調査では,7,236通発送、4,404通回収,60.8%という高い回収率で縦断研究に向けたデータを得ることができた. 結論 個人のソーシャル・キャピタルと死亡・要介護認定には関連がある可能性が示唆された.あらたな調査においては,高い回収率でこれまでの調査データとの結合により学術的なエビデンス作りが期待される.
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