【大阪母子保健研究のデータを用いて社会経済的要因と産後うつ病との関連の評価】 大阪母子保健研究のベースライン調査と生後4ヶ月前後に実施した第一回追跡調査の双方に参加した867組の母子(追跡率:86.5%)を対象として、社会経済的要因と産後うつ病発症との関連を評価した。エディンバラ産後うつ病評価尺度を用いて9点以上を産後うつ病ありと定義した。交絡因子として、年齢、ベースライン調査時妊娠週、子数、喫煙状況、家族構成、妊娠中の医学的問題、生まれた子の性別、出生時体重を考慮した。職業無し群に比較して、職業有り群では有意に産後うつ病のリスクが低下した。特に、フルタイム勤務者及び専門的・技術的職種の人で有意なリスクの低下が認められた。学歴及び家計の年収は産後うつ病と関連がなかった。この結果については、Journal of Affective Disordersに受理された。社会経済的要因と子のう歯との関連或いは子のアレルギー疾患との関連についても検討した。いずれの疾患も両親の学歴と有意な関連が認められた。これらの結果については、次年度に論文を執筆する。 【九州・沖縄母子保健研究のデータの収集】 妊娠中のベースライン調査、出生時追跡調査、4ヶ月時追跡調査、1歳時追跡調査は完了しており、それらのデータベースを構築した。2歳時追跡調査及び3歳時追跡調査を継続し、データを収集しているところである。次年度では、社会経済的要因と出産前後のうつ症状との関連について検討する。
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