研究概要 |
(1)リカレント型神経回路網モデルによる通信機能に関する計算機実験として,400個の二値(±1)神経細胞から成る神経回路網モデルを作り,そのシナプス結合行列(400行400列)として1サイクル5パターン周期で合計6サイクルを埋め込んだシナプス結合行列を決め,少数結合を導入して状態更新を行いカオスを発生させた。そして適切に送信神経細胞を設定して信号入力を行い,他の神経細胞(受信細胞)との相関関数を評価し,また送信信号と同期するかどうかをこれも相関関数を計算することにより評価した。その結果,送信信号がいったんカオス中に散って表面上は見えなくなるが,時空間的に離れた点において再びその信号が発現していることを発見した。これは脳波実験やfMRI実験とも合致する現象であることを示した (2)そうした通信チャンネルを二箇所に設け,カオスを媒体として2点間同時通信を実現させた (3)非線形光電子デバイス結合系による通信機能に関する計算機実験として,動的自己電気光学効果紫子(略称をDSEEDと言い申請者が考案したモデル)の示すパルス発振を擬似神経細胞モデルのハードウェア素子とみなし,二状態モデルと同様の計算機実験とその数値解析による研究を行い,そのハードウェア試作を行った。特に22年度においては試作で得られたサンプル約40個ほどの素子が良好なI-V特性を示すものがなく,二段のp-n接合の作製が困難であることを如実に発現させた。したがってデバイスの作製計画から練り直して薄膜成長と電極づけのプロセスも考え直して再度作製にとりかかることとし,その費用を含めて繰越の手続きをとり。23年度においても試作を継続した。得られた素子,40個ほどについて数個の良好なI-V特性が得られたが,こんどは光入力が良好に内部素子に入らず,デバイス試作の困難さが改めて明瞭化した段階である (4)擬似神経細胞素子のネットワークに関して計算機実験を行い,二値神経細胞ネットワークと同様な計算機実験を試みた (5)国際会議:The 3rd International Conference on Cognitive Neurodynamics(ICCN'11)において上記成果を発表した (6)国際会議:The 9th International Conference of Numerical Analysis and Applied Mathematics(ICNAAM 2011)においてミニシンポジウムを提案し,論文募集・研究発表等を行い,研究課題に関する研究交流や進展を図った
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