研究概要 |
(1)マルチダイナミクス学習の基本理論 複数のシステムから生成されたデータ集合を扱う基本構造として,和型(混合型)演算と積型演算の二種類あることがわかった.マルチダイナミクス学習には積型を必要とするにも関わらず,従来法では和型演算で処理していたことが問題の本質であると判明した.和型の代表例として階層的視覚情報処理があり,積型の代表例がマルチダイナミクス学習に相当する.階層的情報処理ではこれらを区別することが重要である.またこれを元に確率的学習理論を適用し,システムの正規直交直交表現を用いた学習アルゴリズムの導出を試みた.本アプローチはマルチダイナミクス学習の基盤理論確立に向けた重要な試みであり,次年度はさらに理論的な確立に取り組む. (2)マルチダイナミクス学習のアルゴリズム開発とその応用 マルチダイナミクスを扱うアルゴリズムを開発し,評価,応用を行った.まずヘテロなダイナミクス集合をインクリメンタルに学習するアルゴリズムを開発した.次にシステムごとに異なる観測変換を受ける場合の学習アルゴリズムを開発した.さらにマルチダイナミクス学習を元にした適応制御器を開発し,従来型との性能比較を行った.その結果,従来型の学習方法の問題点が明らかになり,また性能が大幅に向上することが示された.観測不変な特徴の抽出,ダイナミクスごとの個性とダイナミクス全体に共通する普遍モデルの分離表現など,重要なテーマの存在が明らかになったので,次年度も引き続きその解明に取り組む.
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