大脳新皮質には、基本的な単位である局所神経回路が多数存在し、それらの活動が基となって、高次脳機能が具現する事がこれまでの研究で明らかである。本研究では、その構成要素の中の抑制性シナプスの機能に関する解析を行う。本年度は、引き続き、ラットの皮質のスライス標本を用いて、皮質の錐体細胞にシナプス結合するFSバスケット細胞の抑制性シナプスの位置やそのPSDの大きさ等を、ペア電気生理記録法と電子顕微鏡による観察を組み合わせて行った。錐体細胞の細胞体から40μmより遠くのみに神経終末がコンタクトするFSバスケット細胞は、発火しても錐体細胞の細胞体からの電気記録でipscは検出できないことを認めた。さらに、その結合部分が本当にシナプス形成しているかどうかを電子顕微鏡で観察した結果、シナプスを形成していることを確認することができた。この結果は、抑制性信号は、40μmよりは遠くに伝導しないことの確証であると考えている。
|