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2010 年度 実績報告書

無意識的同調行動における脳内統合過程の解明

公募研究

研究領域ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明
研究課題/領域番号 22120522
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

長坂 泰勇  独立行政法人理化学研究所, 適応知性研究チーム, 研究員 (30339593)

キーワード同期現象 / 社会脳 / 無意識的行動 / ニホンザル
研究概要

本研究年度では、サルのトレーニング、実験環境の整備、および複数の条件による行動実験を行った。各段階において大きな問題は生じず、本研究課題は順調に進行している。現在は収録された行動データについて解析と論文執筆を同時並行に行っている。これまでの解析結果からは、主に以下の2つの結果が示された。
向い合った2頭のサルがボタンを押した時間について検討したところ、2頭のサルのボタン押しが同期していたことと、それがランダムな現象でないことが示された。さらにサルの間に壁を設置し、互いが見えないような条件で行った試行では同期はあまり認められず、これは視覚情報の効果を反映したものであると示唆された。
一方、サルのボタン押しの速さが条件に応じて変化し、その変化は視覚情報の有無によっても変化することが示された。単独でボタン押しを行った条件でのボタン押しの速さと比較すると、速さが有意に変化していることが示された。なお単純な同期が生じているならば、相手のボタン押しと同じ速さで行われるはずであるが、実際にはそのように変化してはいないことも示された。
以上の結果から、対面した他個体が自身と同様な動作をしていると、観察しているサルの行動が変化することが示された。またそれがリズミカルな動作の場合にはその行動が同期する傾向にあることが示唆された。このような結果はわれわれの知る限り、実験環境下での動物モデルでは初めて明らかとなった社会的交互作用であり、社会性の進化を探る上で意義のある結果であると考えられる。次年度に計画している神経科学的研究によって、このような同期現象を成立させる脳内機能を検討する。したがって本研究年度の結果は、行動上のデータを示すばかりでなく、社会行動のための意識的・無意識的な脳機能を明らかにする上でも、重要な基礎データであると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] Unintentional motor synchronization in Japanese monkeys2010

    • 著者名/発表者名
      Nagasaka Y, Chao ZC, Hasegawa N, Notoya T, Fujii N
    • 学会等名
      33rd Annual Meeting of the Japanese Neuroscience
    • 発表場所
      日本・神戸
    • 年月日
      20100902-20100904
  • [学会発表] 複数ニホンザルにおける上肢運動の無意識的な同調2010

    • 著者名/発表者名
      長坂泰勇・Zenas C.Chao・長谷川有美・能登谷智則・藤井直敬
    • 学会等名
      日本動物心理学会第74回大会
    • 発表場所
      日本・東京
    • 年月日
      20100827-20100829
  • [学会発表] Synchronization of Unintentional Behavior in Japanese Monkeys.2010

    • 著者名/発表者名
      Nagasaka Y, Chao ZC, Hasegawa N, Notoya T, Fujii N
    • 学会等名
      7th International Conference on Cognitive Science (ICCS2010)
    • 発表場所
      中国・北京
    • 年月日
      20100817-20100820
  • [学会発表] ニホンザルにおける自-他同調運動2010

    • 著者名/発表者名
      長坂泰勇・Zenas C.Chao・長谷川有美・能登谷智則・藤井直敬
    • 学会等名
      日本動物心理学会第153回例会
    • 発表場所
      日本・東京
    • 年月日
      2010-07-31

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公開日: 2012-07-19  

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