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2010 年度 実績報告書

一分子FRET法による分子モータータンパク質の動的複合体形成過程の観察

公募研究

研究領域過渡的複合体が関わる生命現象の統合的理解-生理的準安定状態を捉える新技術-
研究課題/領域番号 22121504
研究機関東京大学

研究代表者

富重 道雄  東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (50361530)

キーワード分子モーター / 生物物理学 / 一分子計測(SMD) / 分子機械 / ナノマシン
研究概要

分子モータータンパク質キネシンは2つのモータードメイン(頭部)を交互に動かして運動することが知られているが、どのような仕組みで前後の頭部が協調的に結合解離を行うのかはまだ明らかにされていない。本研究は、2つの頭部をつなぐネックリンカー部位に着目し、ネックリンカーによってキネシン頭部の活性状態が制御される仕組みを明らかにすることを目的とする。本年度は、ネックリンカー部位がキネシン頭部のATP加水分解反応に与える影響を様々な手法を用いて調べた。まず遺伝子組み換えにより単頭キネシンのネックリンカーをC末端側から欠失させたところ、短くするにつれてATP加水分解速度が低下し、'ネックリンカー全体を欠失させると加水分解速度がほとんど失われた。次に、ネックリンカー上のよく保存された疎水残基I325をAlaやGIyに置換したところ、これらの変異体もネックリンカー欠失変異体と同様に加水分解速度が大幅に低下した。このイソロイシン残基はATP状態でキネシン頭部表面に露出する疎水ポケットに相補的に相互作用することが知られており、この相互作用がキネシンのATP加水分解を促進するのに重要であることを示唆するものである。次に一分子蛍光観察法を用いて微小管からの結合解離を直接観察したところ、I325変異体は飽和ATP存在下でも微小管から解離しにくくなっていることが明らかになった。また一分子FRET法を用いてネックリンカーの構造状態を観察したところ、I325変異体ではATP結合に伴うネックリンカーの構造変化が正常に進行しないことが示された。これらの結果は、ネックリンカーと頭部との間の疎水相互作用がATP加水分解の促進に重要な役割を担っていることを示唆するものである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (6件)

  • [学会発表] Role of the neck linker on the front head gating mechanism of kinesin-12011

    • 著者名/発表者名
      Xiao Ling
    • 学会等名
      55th Annual Meeting of Biophysical Society
    • 発表場所
      Baltimore, MD, USA
    • 年月日
      2011-03-06
  • [学会発表] Coordinated walking mechanism of kinesin motor protein studied by structural and single molecule analyses2011

    • 著者名/発表者名
      Michio Tomishige
    • 学会等名
      1st Korea University- The University of Tokyo Joint Workshop on Bio-Soft Matter
    • 発表場所
      Koshiba Hall, Univ.of Tokyo
    • 年月日
      2011-02-23
  • [学会発表] Role of the neck linker on the front head gating mechanism of kinesin-12011

    • 著者名/発表者名
      Xiao Ling
    • 学会等名
      1st Korea University- The University of Tokyo Joint Workshop on Bio-Soft Matter
    • 発表場所
      Koshiba Hall, Univ.of Tokyo
    • 年月日
      2011-02-22
  • [学会発表] キネシン1のネックリンカーはATP加水分解を制御する役割を担う2010

    • 著者名/発表者名
      凌霄
    • 学会等名
      日本生物物理学会第48回年会
    • 発表場所
      東北大学川内キャンパス
    • 年月日
      2010-09-20
  • [学会発表] 統合的な構造機能解析による分子モータータンパク質の研究2010

    • 著者名/発表者名
      富重道雄
    • 学会等名
      名古屋大学工学研究科テクノ・シンポジウム「生物物理の未来研究会」
    • 発表場所
      名古屋大学ベンチャービジネスラボラトリー
    • 年月日
      2010-09-11
  • [学会発表] ネックリンカーによるキネシンのATP加水分解反応の制御2010

    • 著者名/発表者名
      凌霄
    • 学会等名
      第10回日本蛋白質科学会年会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2010-06-18

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公開日: 2013-06-26  

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