研究概要 |
著者らは、酵母two-hybridスクリーニングにより、電位依存性Ca^<2+>チャネルβサブユニットにプレシナプスアクティブゾーンタンパク質であるRIM1が結合することを発見し、βサブユニットが電位依存性Ca^<2+>チャネル複合体の足場として機能することを見出している。そこで、本年度は、他のプレシナプスタンパクも同様にβサブユニットに相互作用するかどうかを以下の生化学的な手法により明らかにした。 1.脳のミクロソーム画分を用いて、プレシナプスのどのタンパク質がβサブユニットに結合するかどうかを、著者らが作成したβサブユニット抗体を用いて、免疫沈降法により評価した。その結果、アクティブゾーンタンパク質であるCASTタンパクが相互作用することが示された。 2.酵母two-hybrid法を用いてRIM1の際と同様のスクリーニングを行った結果、アクティブゾーンタンパク質であるMunc18が相互作用することが示された。 次に上記の実験結果から得られたβサブユニット結合タンパク質であるMunc18,CASTが電位依存性Ca^<2+>チャネルに対して与える影響について検討した。その際には、電位依存性Ca^<2+>チャネルの安定発現BHK細胞株に相互作用タンパク質を発現させて、電気生理学的手法(パッチクランプ法)を用いて評価した。その結果、Ca^<2+>チャネルの活性化キネティクス、不活性化キネティクス、電流密度等に変化が見られ、相互作用実験の結果が強く支持された。また、RIM1,Munc18,CASTが及ぼすCa^<2+>チャネルへの作用は異なるため、これらの相互作用が動的に置き換わることで、チャネル機能が制御されている可能性が示された。
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