研究概要 |
昨年度に、プレシナブスタンパク質であるCASTが電位依存性Ca2+チャネル副サブユニットであるβサブユニットに結合することを報告した。その結果を踏まえて、今年度はCASTが電位依存性Ca2+チャネル活性に及ぼす影響をパッチクランプ法を用いて詳細に検討した。その結果、CASTは電位依存性Ca2+チャネルを低電位側で開口されやすい形に制御していることを明らかにした。また、CASTとβサブユニットの結合を詳細に検討した結果、4種類存在するβサブユニット(β1-4)の中でも、CASTはβ4サブユニットに選択的に結合することを見出した。また、βサブユニット上のCASTの相互作用部位は、我々のグループがβサブユニット相互作用タンパク質として報告したRIMの結合部位と重なることを見出した。これらの結果から、CASTはβサブユニットの中でβ4サブユニットに選択的に結合し、βサブユニット上でCASTとRIM1が競合的に作用することでチャネル活性が制御されることが示唆された。 また、Munc18がβサブユニットに結合することも昨年度に報告した。そこで、Munc18が電位依存性Ca2+チャネル活性に及ぼす影響を上記と同様にパッチクランプ法を用いて詳細に検討した。その結果、Munc18はCa2+チャネルの不活性化を促進する、すなわちチャネル活性を抑制することを明らかにした。一方、我々はこれまでにRIM1がCa2+チャネルの不活性化を抑制することを報告している。これらの結果から、Munc18もRIM1と競合に作用することでチャネル活性を制御される可能性が示唆された。 以上の結果から、βサブユニット上でのRIM1,CAST,Munc18による過渡的複合体形成により、Ca2+チャネル活性が厳密に制御されると考えられる。
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