研究領域 | 出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
22H04457
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
永井 信 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 主任研究員 (70452167)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 景観 / 人々の関心 / 夜間光 / テキストマイニング / 気候変動 |
研究実績の概要 |
2022年度は、2022年度に計画する4項の研究項目:「衛星観測・気象データの解析・評価」・「ソーシャルビッグデータの解析・評価」・「民族誌の収集・まとめ」・「研究の目標設定とフィードバック」を達成するため、次の5項を行った。 (1)Sentinel-2A/2B衛星により観測されたRGB合成画像や、Suomi NPP衛星により観測された夜間光データを解析し、東シベリアにおける典型的な景観の特徴(土地利用土地被覆・地形・人々の生活域・河川からの距離など)を地図化した。(2)ソーシャルビッグデータのひとつであるGoogle TrendsとYandex statistics(検索エンジンの統計機能)により、東シベリアの景観を構成する様々な要素(気象・川・湖・島・山・植物・動物・魚・食物・観光・余暇/スポーツ・祭り・民族・有名人に分類される延べ約300項目)を対象に、人々の関心の季節性を調査し、その特徴を明らかにした。(3)関連書籍や文献を収集し、東シベリアの景観と人々の関わりの理解を深めた。(4)本新学術研究の参画者が主催した「景観考古学・人類学研究会」への参加を通して、人間活動と気候変動下における景観と人々の関わりの時間変化を解き明かすための新たな3つのアプローチ(史料/資料のテキストマイニング・映像マイニング・ソーシャルセンシング)を提案した。このとき、従来の手法(衛星観測・フィールド調査)及び、3つの提案手法が持つ、時間・空間・代表性・理解のギャップをどのように低減し、景観と人々の関わりの理解を深めるかについて議論した。(5)上述(4)における議論及び、上述(1)から(3)における事例研究などを踏まえ、総説論文の執筆に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東シベリアにおける景観と人々の関わりの時間変化を深く理解するためには、出版された書籍や論文及び、インターネット上で公開されている情報の利用だけでは不十分であることを痛感したが、当初に計画した内容は概ね達成できた。このため、本研究は、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、第一に、上述の総説論文を完成させ、国際的な学術雑誌へ投稿する。第二に、2022年度に引き続き、衛星観測とソーシャルビッグデータの解析による景観の空間分布の特徴と人々の関心の対応関係の調査及び、その対応関係を解釈するために必要な民族誌のテキストマイニングを実施し、環境傾度に沿った景観の空間分布の特徴と生業の対応関係の指標化及び、その空間分布の地図化を試みる。第三に、随時電子メールや対面により研究協力者との議論を深め、研究全体のまとめや今後の展開を検討する。
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