研究領域 | 量子液晶の物性科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04478
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松野 丈夫 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (00443028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トポロジカル磁気構造 / パルスレーザー堆積法 / ホール効果 / 5d電子系 / DM相互作用 |
研究実績の概要 |
強磁性体と強いスピン軌道相互作用を持つ非磁性体からなるエピタキシャル酸化物界面で実現するジャロシンスキー-守谷(DM)相互作用に由来するスキルミオン相を元に、スキルミオン生成の鍵となる界面DM相互作用を実験的に評価する。非磁性体として5d電子系酸化物ならびに5d金属を用いることで以下の成果を得た。 (1) エピタキシャルSrIrO3薄膜上に強磁性金属SrRuO3を積層し、フォトリソグラフィにより一辺5μmの三角型微細構造を形成した。その面内磁化を測定することで磁区の核形成においてDM相互作用が作用するため、ヒステリシスの非対称性からDM相互作用を決定できるが、微細構造では磁化も小さいため測定の困難が予測された。そのため、今年度は微小な面内磁化を電気的に測定するためのデバイス構造を設計し試作を行った。 (2) エピタキシャルSrIrO3薄膜上にスパッタ法により強磁性金属CoFeBを積層し、界面における電流-スピン流変換に起因するスピン軌道トルクを高調波ホール効果により測定した。強磁性体の磁化反転に重要となるdampinglikeスピン軌道トルクの大きさからSrIrO3が参照試料のPtと比較して3倍程度大きい電流-スピン流変換効率を持つことを明らかにした。 (3) 磁性絶縁体Y3Fe5O12(YIG)と金属Ptの界面スピン流特性をスピンホール磁気抵抗により評価した。Si基板上の多結晶YIGの成長条件を最適化することで、GGG基板上にエピタキシャル成長したYIGと同程度のスピンミキシングコンダクタンスを持つことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SrIrO3-SrRuO3界面試料の合成、フォトリソグラフィによる5μm幅を持つ三角形形状の形成、など、目標に向けた要素を一つ一つ達成している。関連して、Ir酸化物と強磁性体界面におけるスピン軌道トルクの評価も達成している。
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今後の研究の推進方策 |
目標に向けた要素技術は実現できているため、2023年度はそれらを組み合わせた実験に注力する。
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