公募研究
本研究では、分子線エピタキシー成長によりルチル型遷移金属酸化物の高品質ヘテロ界面を作製し、異方的歪みが新たに可能にする界面機能の開拓を目指している。本年度は、大きな異方的歪みがかかることで超伝導を示すRuO2薄膜と、同じ基板方位と膜厚でありながら小さな異方的歪みのために超伝導を示さないRuO2薄膜を作りわけたのち、X線吸収分光によってRuサイトの軌道準位とOサイトとの混成強度の変化を明らかにした。さらに、これらのフェルミレベル近傍の軌道状態や電子格子状態の変化が超伝導以外の伝導特性にどのような影響を与えるかを調べた。
1: 当初の計画以上に進展している
RuO2薄膜に対する異方的歪みの制御手法を早期に確立したことで、同じ基板方位及び膜厚でも超伝導を示す薄膜と示さない薄膜を作りわけられるようになり、スペクトロスコピーの手法以外にも様々なプローブによる共同研究が進展しつつある。
一部のルチル型酸化物ヘテロ界面では、異方的歪みによって音響・光学フォノンが急激にソフト化することが第一原理計算により明らかになっている。この格子変調のアイデアをRuO2以外のルチル型酸化物にも適用し、新たな界面機能の開拓を試みる。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Physical Review B
巻: 107 ページ: 054423-1-6
10.1103/PhysRevB.107.054423
Physical Review Materials
巻: 6 ページ: 084802-1-6
10.1103/PhysRevMaterials.6.084802