研究領域 | 機能コアの材料科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04505
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
相馬 拓人 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (50868271)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | エピタキシャル薄膜 / 遷移金属酸化物 / 電気化学 / 超伝導 / 欠陥化学 |
研究実績の概要 |
本研究は,機能コアとしてエピタキシャル薄膜における格子欠陥に着目し,その合成の非平衡性や高結晶性を活用することで格子欠陥の機能性を開拓する研究である。初年度である本年度は、その研究の舞台となる単結晶エピタキシャル薄膜合成に注力した。その結果,以下の2つのトピックについて成果が得られた。 (A) [高品質薄膜における逆位置欠陥の導入] 2種の遷移金属が含まれるペロブスカイト酸化物のエピタキシャル薄膜を様々な条件で作製することに成功した。その結果,成長条件に依存しその元素の秩序性が異なることが明らかとなった。一方で結晶性自体に大きな変化はなく,機能コアである逆位置欠陥量が広く制御された試料が実現した。 (B) [エピタキシャル薄膜の特徴を活用した均一欠陥導入と電子相図] 様々な遷移金属Mを持つLi層状酸化物LiMO2のエピタキシャル薄膜合成に成功した。それらはMの種類に依存し様々な物性を発現することが明らかになった。 これらの結果の一部は原著論文としてまとまっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2つのトピックスである(A) [高品質薄膜における逆位置欠陥の導入] (B) [エピタキシャル薄膜の特徴を活用した均一欠陥導入と電子相図] の両方に対して,その研究の舞台となる高い結晶性のエピタキシャル薄膜の合成が達成された。そのため,翌年度は計画通りそれらを活用した物性測定・制御の実験を行う予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる来年度は,計画通り物性の測定と制御を行い本研究を完遂する。 具体的には,(A) 実現した薄膜の磁気特性を測定することで欠陥と物性を関係付ける。 (B) 実現した薄膜を用いた電気化学デバイスを作製し,電子相図を完成させる。 これらの結果をもとに遷移金属酸化物が示す電子物性の未開拓大地を埋め,既知の物性との比較から考察を行う。
|