公募研究
水素を含む複合アニオン化合物は、異種アニオンのアシストによって水素の荷電状態を柔軟にとることができ、それを活かした物質創製・物性発現が注目されている。本研究では、このような窒素水素化合物をエピタキシャル薄膜として合成し、方位を規定した物性や触媒特性の評価を目指している。希土類元素のターゲットから窒素・水素を混合しながら薄膜を作製したところ、弱い回折しか得られず、帰属がうまくできないため相の同定には至らなかった。そこで、以前に作製に成功したCa2NHエピタキシャル薄膜の条件最適化を見直してみたところ、層状電子化物であるCa2N相の合成ができることがわかった。YSZ(111)やGaN(0001)基板上にCa2N(001)が、MgO(100)基板上にCa2N(104)エピタキシャル薄膜を選択成長させることに成功した。大気不安定であるこのCa2N薄膜の上に保護膜を堆積して大気中に取り出し、エピタキシャル薄膜の輸送特性を測定したところ、10 Kにて抵抗率4.8×10^-5 Ωcm、キャリア密度1.7×10^22 cm-3、移動度7.8 cm2V-1s-1の値を得た。また、光学透過率を測定したところ、730 nmにて49%の透過率を示した。キャリア密度が~10^22 cm-3と大きいにもかかわらず、透過性を示すことから、Ca2Nが単なる金属ではない電気・光学特性を有することがわかった。これは希土類元素の層状電子化物への展開も期待できる成果である。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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