研究領域 | 機能コアの材料科学 |
研究課題/領域番号 |
22H04514
|
研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小林 玄器 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (30609847)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | メカノケミカル合成 / ヒドリドイオン導電体 / 混合導電体 / 触媒 |
研究実績の概要 |
2021年度に報告したBaTiO3-xHx(BTOH)のメカノケミカル合成の手法を応用し、新物質探索を検討した。高圧合成やCaH2を用いたイオン交換などの従来の酸水素化物の合成方法では、合成中に原料が金属まで還元してしまう問題があり、構成元素に含めることができない金属種が数多くあった。本研究で適用したメカノケミカル法は非加熱合成プロセスであることから、原料の過剰な還元を抑制することが可能になり、結果としてこれまで構成元素にできなかった金属種を含む新たな酸水素化物を合成することに成功した。中性子回折による結晶構造解析とTDSによる組成分析等で組成を決定する予定である。
メカノケミカル合成によって得られたBTOHをアンモニア合成触媒として評価した。その結果、既報のアンモニア合成触媒よりも優れた触媒活性を示すことを確認した。水素濃度による活性の変化も捉えており、今後の主要な研究対象になる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
非加熱合成法であるメカノケミカル合成は、揮発しやすい水素を反応系内のとどめることに適しており、これを積極的に活用することで遷移金属酸水素化物の探査空間を拡張することができた。実際に新物質をいくつも合成できている。また、メカノケミカル法で得られたBTOHがアンモニア合成触媒として優れた活性を示した。
|
今後の研究の推進方策 |
得られた新物質の結晶構造と組成を構造解析と組成分析から決定する。さらに、触媒活性、電極特性等の機能評価をおこなう。 メカノケミカル合成で得られた試料は、結晶歪みが大きいことが示唆されており、コヒーレントX線などの計測を実施することで歪みの可視化をおこなう。得られた結晶歪みに関する指標と物性値との相関を調べる。
|