研究実績の概要 |
本研究では、温度応答性高分子修飾界面での水分子の挙動の詳細な解析を行ない、さらなる機能性を有する温度応答性高分子修飾界面の設計指針を構築し、革新的な分離材料を創出する。 2023年度は、温度応答性高分子であるpoly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAAm)に親水性官能基および疎水性官能基が共重合された高分子ブラシを作製し、温度変化による水和挙動の観察を大型放射光施設の赤外分光により観察した。 温度応答性高分子に正電荷を有するN,N-dimethylaminopropylacrylamide(DMAPAAm)をランダム共重合により導入した共重合体P(NIPAAm-co-DMAPAAm)、または、疎水性官能基を有するn-butylmethacrylate (BMA)をランダム共重合により導入した共重合体P(NIPAAm-co-BMA)修飾シリカビーズを原子移動ラジカル重合により作製した。比較対照として、PNIPAAmのみを修飾したシリカビーズも作製した。 湿度、温度を変化させながら、シリカビーズに修飾された高分子の水和挙動を赤外分光により確認したところ、親水性のP(NIPAAm-co-DMAPAAm)は、PNIPAAmと比較して、水和が促進することがわかった。一方、P(NIPAAm-co-BMA)は、PNIPAAmと比較して、脱水和が促進する傾向が見られた。 これらの結果より、温度応答性高分子に親水性および疎水性官能基を導入する事で、水和挙動、脱水和挙動を促進させることがわかった。
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