研究領域 | 水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 |
研究課題/領域番号 |
22H04565
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
曽川 洋光 関西大学, 化学生命工学部, 准教授 (90709297)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 水圏 / 接着剤 / ゲル / アルギン酸 / バイオマス / 刺激応答性 / 多糖類 |
研究実績の概要 |
本研究では,水圏で接着能や溶解性を可逆的に制御可能なサステイナブル接着剤の開発を目的としている。つまり,申請者らが 開発したアルギン酸(ALG)由来の水溶性バイオマス接着剤について,湿潤下でも接着能を発現させることを目指す。2022年度は,ドーパミン(DOPA)をALGに導入したALG-DOPAのゲル化挙動を調査した。DOPA導入率が<10%のALG-DOPAを1 M CaCl2水溶液に浸漬するとゲル化が進行することがわかった。一方で,ALG-DOPAをマイカ基板に塗布して乾燥後の作成試料を,1 M CaCl2水溶液に浸漬して接着強度の評価を試みたが,非常に脆くなってしまい,定量的にその値を測定することが困難であった。今後,塗布する試薬量を増やす,ゲル化条件の変更等が必要であると考えられる。尚,破断後の試料表面を評価したところ,白色化したサンプルを確認したことから,接着面間においてもイオン交換に伴うゲル化が進行していることは確認できた。加えて,より高い接着強度や界面選択性を示すALG誘導体の合成の観点から,複数のカテコールユニットを側鎖に有するALG-(DOPA)2およびβ-シクロデキストリンを側鎖に有するALG-CyDを合成した。いずれの誘導体についても,その構造をNMR,IR測定により確認した。またALG-CyDはメチルオレンジ等のゲスト分子の優れた包摂能を示すことを確認した。今後,これらのゲル化前後の接着挙動についても評価していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度中にゲル化条件の最適化,及び接着強度の検討を実施する予定であったため
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今後の研究の推進方策 |
2023年度はゲル化条件の最適化を実施する。ALG誘導体において,CaCl2ではなくCaCO3を用いたゲル化反応を検討している文献(B. L. Strand et al. Gels, 2019)があり,ここではゲル化時間を遅延することにより,形状を保ったALGゲルが得られることが報告されていた。この報告の条件を参考に,本系においてもゲル化条件の最適化を実施する。 加えて,2022年度に合成した新たなALG誘導体の湿潤,乾燥条件における接着挙動を評価し,水分子と接着挙動の関係性解明を目指す。
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