原子核密度汎関数理論を用いて、ニュートリノレス二重ベータ崩壊(0νββ)およびそれに関連する過程であるニュートリノを2つ放出する二重ベータ崩壊(2νββ)や二重電子捕獲(2νECEC)などの半減期を高い精度で計算し、0νββの原子核行列要素、半減期計算の信頼性の向上を目指すのが本研究課題の目的である。 2022年度は中性子―陽子チャネルの有限振幅法を用い、捕獲過程のQ値から電子を捕獲可能な46核種について2νECECの原子核行列要素の計算を系統的に行った。2νECEC半減期が測定されている78Kr、124Xe、130Baの原子核行列要素の理論値は、実験値と比べてオーダーが異なる小さな値となった。これらの核種では捕獲過程の始状態核と終状態核の形状が異なることにより、有限振幅法で二重電子捕獲を計算する際に仮定されている近似が成立しないことが主要因として考えられる。また、2νββの場合と同様、始状態核と終状態核がともに同程度にプロレート変形している重い原子核では原子核行列要素の値が用いる密度汎関数にあまり依存しないことがわかった。 0νββの原子核行列要素を有限振幅法を用いて計算するためには二体崩壊演算子を一体演算子の積で表す必要がある。そのため、ニュートリノが寄与する部分を展開することで二体崩壊演算子を一体演算子の積の和で表現した後に、各項ごとに有限振幅法の計算を実行する。0νββ原子核行列要素の計算コードのプロトタイプを作成し、76Geでのテスト計算を実行した。
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