公募研究
ニュートリノ(ν)を放出しない二重ベータ崩壊(0nbb)の観測は、素粒子νの本質に迫り、物質の起源解明に関わるため、現代物理学において非常に重要な研究であると位置づけられる。もし発見されればνの粒子-反粒子同一性(マヨラナ性)が判明する。その結果粒子数の破れから、物質優勢宇宙の謎に決着がつく(レプトジェネシス)。この二重ベータ崩壊の崩壊率は、核種による遷移確率(核行列要素)の理論的不定性もあるため、様々な原子核で実験することが必要となる。本研究の目的は、160Gdの0nbb探索感度更新およびニュートリノを放出する二重ベータ崩壊(2nbb)発見を目指したPIKACHU実験のため、大型かつ高純度のCe:Gd3(Ga,Al)5O12(GAGG)結晶の開発を行うことである。これまでに得られたバックグラウンド(BG)レベルは、先行研究のウクライナでの実験よりもQ値で約一桁高かった。昨年度までに主に原料の酸化ガドリニウムを高純度化した2インチのGAGG結晶の作製に成功した。本年度は、この高純度結晶を用いて、岐阜県神岡にある地下実験施設の極低バックグラウンド環境測定を行い、結晶内のバックグラウンドレベルを評価した。7月に高純度結晶を持って神岡地下実験施設へ行き、宇宙線が届かない地下1000mの鉛シールド内で数日間の測定を行った。そのデータに対し、シミュレーションを用いた評価手法を確立し、結晶内部のウラン、トリウム不純物量を定量的に評価することに成功した。その結果、主要なBG源であるウラン238上流とトリウム232の結晶内不純物が約1桁低減したことが判明した。この高純度結晶を大型化(6.5cmφ×14.5cmL)した際の二重ベータ崩壊への感度を見積り、結晶2本×期間1.5年の実験を行った場合、0nbbに対して4.4×10^22年の半減期感度が得られることを示し論文にまとめた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: 2024 ページ: 033D01
10.1093/ptep/ptae026
https://hep-www.px.tsukuba.ac.jp/PIKACHU.html