公募研究
本研究では、(3+1)次元の高次元対称性を有するチムニーラダー型化合物を対象とし、詳細な結晶構造解析と物性測定を通して、非整合複合結晶特有のフェイゾン歪が織りなす多彩なナノ組織の形態とそのダイナミクスを明らかにするとともに、ナノ組織がフォノン物性(特に格子熱伝導率)に及ぼす影響を解明することを目的とした。まず、マンガンケイ化物の基本物性を深く理解するために良質単結晶を作製し、輸送特性の異方性を詳細に調べた。元来持つ異方的結晶構造から予想されたように、正方晶のa軸方向に電気伝導性が高くゼーベック係数が低いことが確認された。熱電性能指数zは、ゼーベック係数の2乗に電気伝導率を乗じ、熱伝導率で割った量であり、それぞれが異方性を有することから、z自体の異方性はa軸方向とそれに垂直な方向で、2程度に収まった。続いて、MnサイトまたはSiサイトを種々の元素で部分置換した試料を作製し、室温における音速の異方性を測定した。室温における縦波と横波のみを測定したところ、部分元素置換した試料は無置換試料に対して縦波・横波とも大幅な減速がみられ、元素置換が格子熱伝導率に大きく寄与することが示唆された。更に、Mnサイトを2種類の元素で部分置換した試料を合成し、その固溶範囲や結晶構造の変化および熱電特性を明らかにした。Siサイトに対しても、部分置換が格子熱伝導率に及ぼす影響を調べることを目的として、Alで部分置換した固溶相試料を合成して固溶限の確認や微細組織観察を進めた。また、n型素子の候補として着目した、チムニーラダー型鉄ゲルマニウム化物FeGeγ (γ ~1.5) の合成条件を検討をした。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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