研究実績の概要 |
本研究では、ハイパーマテリアルの代表格である準結晶・近似結晶合金の触媒材料への応用展開を目指し、表面構造と触媒特性(“実条件下”での)の相関性を評価・解析することを目的とした。Icosahedral型Al-Pd-(Ru, Fe)系準結晶・近似結晶をターゲット材料として、触媒材料としての可能性を探った(①前駆物質としての検討、②準結晶・近似結晶触媒としての検討)。Al-Pd-Ru系で異なる相の合金を作り分けることに成功した:Al71Pd19Ru10 (IQC), Al72Pd16.4Ru11.6 (P40), Al70.4Pd14.7Ru14.9 (C1)。そこで、これら作製した合金試料を用いて、各種触媒反応試験(CO酸化反応: CO + 1/2O2 → CO2、C2H2部分水素化反応: C2H2 + H2 → C2H4)により合金相と触媒特性との相関を検討した結果、ハイパーマテリアル合金は触媒材料として極めて有効なプラットフォームであることが示された。 ①前駆体としての検討において、作製した各種Al-Pd-Ru系試料を20wt% NaOH水溶液中でリーチング処理(室温, 24h)行った。その結果、合金中のAlが選択的に溶出することで母合金構造は消失しPdとRuが原子レベルで互いに交じり合った過飽和固溶状態になっていることがわかった。さらに、Pd/Ru比を制御できる触媒合金前駆物質としてAl-Pd-Ru系は有効であることがわかった。 ②準結晶・近似結晶触媒としての検討において、各Al-Pd-Ru合金試料は活性・C2H4選択性はほぼ同様な特性を示した。これは、C2H2水素化反応は10個程度のローカルな原子サイトで完了することから、同様なクラスター(ミニBergman, 擬Mackay)で構成されているAl-Pd系正20面体準結晶・近似結晶がほぼ同じ反応特性を示したと考えられる。
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